「作文大好き」と言える日を

       社会人      井上 玲子

 「イカの口」という奇妙なエッセイ教室に入っている。その主催は神山典士というこれまたなんともユニークな先生に習っている。

 今日はその先生の出版記念したセミナーに参加している。先生が制作した「作文大好き」という映画を見ての感想文を書けと言う。鉛筆も心構えも出来ていないまま、何十年ぶりかの原稿用紙に向かう62才。先生の教室にさぼりさぼり入って数年。この年になって何の役に立っているかと聞かれれば、ハッキリとは答えられないし、教室の前夜にあたふたするのが常になっている。

「作文大好き」の映画は、先生が推し進める都会と田舎をつなぎ、あくせくすることなく人生を謳しもうというコンセプトで作られた。

古民家を舞台にあっと言う間に子どもたちが作文に慣れ親しんでいく様子が描かれていた。子どもは純粋に素直にスイスイと文章を連ね

ていく。衝撃を受けた。大人のようにごたくを並べず、すぐ行動に移せる子どものピュアな魂と感性に感動した。

 仕事で小学生の作文を見る機会があるが、そこには印で押したような同じような文章が習ぶ。先生も生徒にも文章を書く気も無いし、書き方もわからないのだろう。

文章だけは子どもの様に正直でいたいと思った神山先生の講座でした。

 窓に写る直方の山々が、つたない文章を応援してくれました。作文大好きと言える日は近いかな。